磁気カードとは?「磁気カード テクノロジーストーリー」

磁気カードとは

紙やプラスチックのシートの表面に、ストライプ状または、表面全体を覆うように磁気記録層(磁性層)を付け、それをカード状に仕上げたもので、この磁性層に信号(情報)を記録して様々な用途に使います。
磁気カードは1980年頃から誕生し、テレホンカードは、プリペイド式の磁気カードの代表でした。もちろん今も磁気カードは多彩な用途に使われており、当社は磁気カードの製造を行っております。

磁気カードの製造工程

テレホンカードのような磁気カードをPETカードと呼びます(ちなみに銀行のキャッシュカードなどは磁気ストライプ付きキャッシュカードと呼ばれます)。PETとは基材フィルムの材料名であるポリエチレンテレフタレートの略称で、熱や力、薬品に対して強く、適度に柔軟で厚みが均一と、カード基材としてはうってつけの材料です。

磁性材で最もよく使われるのがバリウムフェライトという材料です。直径0.5ミクロンの濃茶色の微粒子の一個一個が磁石となって磁気記録層を形成しており、磁気ヘッドで磁化することによって磁気記録ができます。

この磁性材を塗料にしてPETフィルムにコーティング(塗布)するのですが、平滑で均一な塗膜を形成することは品質上極めて重要であり、塗布工程は大きなポイントです。しかも塗膜の厚さは1ミクロン以下が要求されることもあり、これだけの精度を常に保つには大変な技術力が要求されます。
コーティングの際は、ロール状のPETフィルムを連続で繰り出しながら、コーターヘッドと呼ばれる塗工部で基材に塗料を塗布し、その後ドライヤーによって塗布膜中の溶剤分を蒸発させて乾燥膜として基材に固定化。巻き取り装置によって再度ロール状にします。

こうして磁気層側のコーティングが完成したロールは、シートカットされて、印刷されます。PETカードの場合、基材は紙と異なって印刷インキが浸透しません。そこで基材にインキを密着、乾燥させるために紫外線硬化型(UV)インキを使用しています。これによって瞬時に乾燥皮膜を形成することが可能です。

印刷後は、シートからカード状に打ち抜く工程、機能検査を行う工程、外観検査を行う工程、仕様に応じて番号を刻印する工程を経て、出荷されます。

このように非常に厳しい水準の品質要求に応えつつ、効率のよい安定した生産を可能にしたことで、磁気カードは一気に普及しました。

磁気記録の仕組み

デジタル記録

デジタル記録では、”0”か”1”かを表わす最小単位を1bit(ビット)と表します。また、プログラム言語は一般的に8bitで文字や記号を構成するので、8bit = 1byte と表現します。
4bit
0

0000

1

0001

2

0010

0011

4

0100

5

0101

6

0110

7

0111

8

1000

9

1001

4bit
A

1010

B

1011

C

1100

D

1101

E

1110

F

1111

“00”から”FF”までの組み合わせは256通りになります。
2の8乗 (=16の2乗)
 
(例)
00=00000000
01=00000001
53=01010011
A1=10100001
FF=11111111

左図のように8bitで256キャラクタ(数字、アルファベット、記号)などを表現することが可能です。実際の運用では、8bitで文字や記号を構成するのが一般的ですが、アプリケーションによっては、専用のフォーマットを決めて意味を持たせる場合もあります。
【記録可能な容量】
・容量は通常「bit」(ビット)または「byte」(バイト)で表現します。
・磁気カードの場合は、記録密度(BPI=bit per inch) により異なります。
・通常は1インチ(2.54cm)あたりに150bit(150BPI)か210bit(210BPI)が一般的です。
・磁気カードの長さ85mmのうち有効エリアを75mm(約3インチ)とすると、450bit(約56バイト)から630bit(約78バイト)が記録可能です。
・カード全面6トラックを使用すれば、最大3600bit(450バイト)の記録容量となります。
・記録密度を上げれば容量は増えるが、磁気カードシステムのR/W機で安定的に使用するには、150BPIあたりが妥当です。
 
 

磁気製品

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磁気カード

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磁気カードはポイントカード、診察券、プリペイドカードなど様々なシーンで使用されています。

磁気テープ

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磁気テープは主にクレジットカードやキャッシュカード、通帳の裏面に使用されています。