CMPスラリーとは

CMPスラリーとは?
CMPとはChemical Mechanical Polishingの略で、化学的に溶解させながら機械的な除去、研磨を行います。付与する化学的作用は削りたい物質の化学的な性質に依存します。
また、使用される砥粒は、粒子径が100nm前後のシリカ、アルミナ、ポリマービーズなど比較的硬度の低い物質を利用します。そのため、被研磨物表面にスクラッチや加工変質層などの歪が入りにくくなります。

製造方法について

CMPスラリーの製造には「分散技術」が必要になります。分散技術とは粒子を液体などに均一に混ぜ込ませる(分散する)技術のことです。

ディスパー式攪拌機
ディスパー式攪拌機
攪拌分散

粉体、液体混合液に対して攪拌羽を高速回転させ、攪拌羽のせん断力を利用して凝集している粒子を破砕し、粒子を溶液中に均一分散します。
CMPにおいても、粉体で購入したシリカ等を研磨粒子として使用する際、撹拌羽のせん断で粒子を分散させスクラッチの発生を防止します。
当社では長年培った磁気塗料製造技術を発展させ、CMPスラリーを製造しております。クリーンルーム( Class 10000 )での分散プロセス、原料の管理、設備の工夫と維持管理により、重金属はもちろん、細菌などの微生物や不純物の混入を検出できないレベルまで防いでいます。
例えば、スラリータンク内部を分厚い樹脂層で保護することにより、スラリーに含まれる研磨成分がタンクの内側のステンレス部分を削ることを防ぐことで、金属及び金属イオンの混入を防止し厳格な精密加工プロセスにふさわしい汚染低減を実現しています。
以下動画で普段はなかなか見られないCMPスラリーの製造現場をお見せいたします。是非ご覧ください。
【 ミニ工場見学 】
画像をクリックすると動画がご覧いただけます。
【スラリータンクの内部イメージ】
スラリータンクイメージ

分厚い樹脂層でスラリーとステンレス部分の接触を防いでいます。

CMPスラリーを使用した研磨方法

CMPの研磨は、キャリア中に被研磨物であるウェハを保持し、そのウェハに圧力をかけ発泡ポリウレタン製の研磨Pad上に押し付けスラリーを滴下し、Padおよびウェハを回転させながら研磨を行います。

Cuデバイスは、絶縁膜、配線金属のCu及び絶縁膜中にCuの拡散を防止するバリア膜からなり、バリア膜はTaが使用されてます。研磨の1st stepとしては、Cu用CMPスラリーでCuを研磨し、Ta面でストップさせます。次に2nd Stepでは、Ta用CMPスラリーを使用し、Ta及びCuを研磨します。

研磨装置

当社で実験に使用している研磨装置は、Applied Materials(AMAT)製Mirraで、デバイスメーカーにて実際のデバイス製造に使用される装置と同様のものを使用しています。
研磨装置1
研磨装置2
研磨装置3

CMPスラリー製品ラインアップ

様々な種類のCMPスラリーを扱っております。
当社は、単一材料を研磨するだけでなく、異種材料を高選択または低選択にて同時に研磨することを得意としています。

用途 製品名 対象研摩物 説明
銅デバイス、立体配線接続用 TPC Cu 半導体配線Cu研磨用シリカスラリー
銅デバイス、立体配線接続用 MKT Ta 半導体配線バリア膜研磨用シリカスラリー
銅デバイス、立体配線接続用 MKW W Wコンタクトプラ府用シリカスラリー
TSV用 SE-High
<開発品>
厚膜Cu 厚膜Cu研磨用シリカスラリー
ミクロンオーダーのCu高速除去
TSV用 Si-07
<開発品>
Si Si基板およびTSV裏面研磨用スラリー
樹脂研磨 CME
<開発品>
フィラー入り樹脂膜 ビルドアップ基板用樹脂研磨スラリー
樹脂研磨 PI-01
<開発品>
PI, Cu ポリイミド膜およびCu研磨用スラリー
その他 CMS
<開発品>
SiO2 半導体酸化膜研磨用セリアスラリー
その他 DS-01 磁気ヘッド
(AlTiC)
油系ダイヤモンドスラリー
再分散性良好、高速研磨かつ低スクラッチを達成
研磨後の被研磨物への被着物を低減

スラリー開発事例

当社は、様々な種類のCMPスラリーを開発してきました。
多くは、金属やセラミックスなのですが、それ以外の開発事例について紹介します。

<事例:樹脂研磨スラリー>

経緯

デバイスメーカーさまは、ポリイミド(PI)を削りたく、且つ、ポリイミド中に埋まっているCu(銅)プラグの表面がでたところで研磨を終了したいとお悩みを抱えており、当社にご相談いただきました。 また、研磨速度は1分間にミクロンオーダーでの速度が必要で、表面粗さについてもケアして欲しいとご要望をいただきました。当社は、研磨テストにより 粒子種、粒子径、pHおよび反応促進剤をみつけることができ、研磨速度/Raの指標では、他社品と比較しても良好との評価をいただくことができました。 当社は段差測定など評価を行いながら研磨できる評価装置があるため、このような評価に繋がりました。近年、このポリイミド研磨スラリーの引き合いが非常に多くなっています。

評価頂いた点

■良好な研磨特性
 お客様の要求特性をクリアする組成設計(粒子種、粒子径、pHおよび反応促進剤)

■研磨特性の評価環境
・段差測定機、膜厚測定機、AFM

スラリー製造受託引き合い事例

当社は各種スラリー/塗料の製造受託を行っております。
製造でのお困りごとがありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

<事例:水系スラリー>

経緯

電池材料製造メーカーさまは製品製造中に導電物質の混入を防止したいという課題を抱えており、当社にお声をかけていただきました。当社の製造ラインで使用する部材は、金属はステンレスを使用し、その金属上にはフッ素系樹脂を積層させ、さらに接液部は可能な限りフッ素樹脂にしているため、金属及び金属イオンの混入を出来る限り低減させることが可能です。当社は金属混入をケアした製造ラインであったため、電池材料製造メーカーさまのご要望にお応えすることができました。また、当社は半導体向け製品を製造しているため、クリーンルームでの製造実績があること、品質体制が整っていること、各種物性測定用の分析機器を保有していること、そして何より粒子分散のノウハウをもっていることに評価をいただき、製造委託先に選定してくださいました。短期間での生産化が必要でしたが、当社はこれまで培ってきたノウハウを活かし、迅速に生産体制を構築することが出来ました。現在においても品質事故や納期遅延を起こすことなく、継続して製造受託を請け負っています。

選定理由

■充実した設備環境
・クリーンルームでの製造
・品質体制
・自社での分析/評価

■長年に渡る半導体製品の製造実績

クリーンルーム(エアシャワー)

クリーンルーム(エアシャワー)

ICP

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