印刷入稿データの作り方①:基本

理想のラベルを製作するためには、印刷に適した入稿データを作成する必要があります。
ラベルの入稿データを作成する際のポイントや注意点を交えてご紹介いたします。
今回は基本編となります。フォント編色編印字編は各リンク先からご確認ください。

入稿(印刷)できるデータについて

Illustrator入稿

印刷用の入稿データとして多く使われるのがIllustratorによる入稿です。

・ Illustratorのバージョンやフォントの有無などの要因でデータを開いた瞬間に思わぬ変化が起きていないかを確認するため、
  データだけでなく校了紙(もしくは校了PDF)を合わせて入稿してください。
・ 印刷に使用するフォントにはアウトラインをかけて入稿をしてください。
リンク画像がある場合は合わせて入稿してください。
・ リンクやフォントが揃っていないと安全にデータを開くこと、色校正や印刷へ進行することができません。
・ Illustrator入稿では当社での色の調整等を行う事が可能です。

PDF入稿

デジタル印刷機で印刷する際に多くみられる入稿方法です。
デジタル印刷以外でPDF入稿を行う場合の注意事項は、Illustrator入稿と同じになります。
「Illustratorの編集機能を保持」にチェックを入れてPDF保存してください。

・ PDF/X-4の形式で保存してください。PDF/Xは印刷に準拠した国際規格となっており、PDF/X-4では透明効果のサポートもされています。
・ PDF入稿されたデータはそのまま印刷に進むため、データ内に印刷以外のデータ(情報)は入れないでください。
 印刷以外の情報があると機械がラベルのサイズを認識できなかったり、ラベルのセンターを認識できないため正しい印刷ができません。※1
・ PDF入稿は完全データ扱いとなります。当社での修正や調整はできません。修正事項がある場合は再入稿をお願いします。
・デジタル印刷機で画像データを差し込み印刷(可変印刷)をご要望の際は事前に当社へご相談ください。

【 PDFデータの入稿 】※1
印刷データのみ
印刷するデータのみでのご入稿をお願いいたします。
(アートボードサイズ=仕上がりサイズ+塗り足し)
デザイン以外の情報
デザイン以外の情報が入っていると、
データの修正が必要になるため、再入稿をお願いしております。

PDFデータ入稿でのその他注意点

PDF入稿は完全データ扱いとなるため、当社での修正や調整はできません。
抜きアタリを入れてデータ入稿する場合、抜きアタリを特色(dieline)にして、線にオーバープリントをかけてください。
正しく抜きアタリが設定されていないと、再入校となってしまうので、ご注意ください。
【 NG例1:抜きアタリがブラック設定 】
 
抜きアタリがブラックで作成されていると、抜きアタリ線もブラックで印刷されてしまいます。
抜きアタリの特色設定をお願いいたします。
【 NG例2:抜きアタリ線にオーバープリントがない 】

抜きアタリにオーバープリントがかかっていないと、各版で抜きアタリ部分が抜けてしまい、印刷物に白い線が入ります。

注意点

office系のソフト(Word、Excel、PowerPoint)で作成したイメージを印刷データとして使用することはできません。
またフォントや環境等が異なるため全く同じものを作成することもできません。
Office系のソフトでPDFの保存形式をPDF/X-4にしても印刷に適していない場合がありますのでご注意ください。

データ形式 入稿 注意事項
Illustrator
・フォントのアウトライン化
・リンクファイルの同封
PDF
・デジタル印刷機にて印刷の場合、保存形式はPDF/X-4のみ
・印刷するデザインのみのデータでの入稿
office系
(Word、Excel、PowerPoint等)
×
・ラベルイメージをこれらのソフトで作成しても全く同じ印刷データを作成できる保証がない

抜きと印刷の関係について

塗り足し

塗り足しとは、仕上りサイズより天地左右+1.5㎜ずつ大きくなるように背景を作成した部分のことです。入稿の際は塗り足しを作成してください。
塗り足しを行うと、断裁やカス上げなどの後工程の際にラベルのフチに紙地がでるのを防ぎます。
特に画像(写真)の塗り足しには注意してください。

印刷可能(適正)範囲

仕上がりサイズより天地左右-1.5㎜以内に切れて欲しくないデザインや文字を配置してください。
印刷可能(適正)範囲内に必要な情報を入れておくことで、断裁やカス上げ等の後工程の際に必要な情報が切れてしまうなどの不具合を防ぎます。また製造上、多少の抜きズレが発生することがありますが、ラベルのフチから余裕があった方がズレが目立ちません。
なお、2層ラベルブックレットラベルなど複数の層で構成されているラベルでは、専用設計が必要になりますので、当社へご相談ください。

【印刷データの作り方】
印刷データの作り方

塗り足しや印刷可能(適正)範囲が守られていないと、どうなる?

塗り足しと印刷適正範囲が守られていないと起こる現象
塗り足しが無く、仕上がりサイズギリギリまでデザインや文字を配置してしまうと、後加工による抜きズレなどで、紙地が見えてしまったり、文字やデザイン切れが発生してしまいます。

印刷可能(適正)範囲に文字やデザイン、塗り足しまで背景を伸ばすなど、仕上がりサイズに余裕をもったデザインをおすすめいたします。

印刷可能なオブジェクト、線幅について

印刷保証のできる最細線幅は0.1mmになります。(トンボ(トリムマーク)は0.1mmの線で作成しています。)
0.1mm以下幅の線は再現性の保証ができません。
また、ヘアライン(線幅0㎜で塗りに色をつけて線に見えている状態)については印刷されません。 ※2
小さい文字や細い線が網やCMYKのかけ合わせで作られていたら、特色の使用や100%(ベタ)への変更をおすすめしています。
見当ズレが目立たなく、文字や線がくっきり見えます。網のみでの表現ではデータではまっすぐに見えていても、印刷するとガタついてみえることがあります。 ※3

【 ヘアラインの確認 】 ※2
ヘアライン不可
データ上で線に見えていても塗りに色があり、
線幅の設定が0㎜だと、印刷されません(ヘアラインと呼ばれてます)。
ヘアライン可
印刷したい線は線に色をつけて、線幅は0.1㎜以上に設定してください。
【 小さい文字や細い線の確認事項 】 ※3
網で出来た文字、4色かけ合わせの文字は印刷すると
下段のように点の集まりで表現されます。
単色や特色を使用した場合、100%であれば網点は生成されず、
くっきりしたラインで仕上がります。

オブジェクト整列時の隙間について

線幅やオブジェクトサイズだけでなく、オブジェクト同士の隙間にも注意が必要です。隙間が0.1㎜以下の場合でも機械が下地(背景)の色を認識してしまう事があります。
オブジェクトが隣接しているデザインを作成した際には隙間が生じないよう整列させてください。
このような隙間を検知することは現状のシステムではほぼ不可能です。目視でも0.1㎜以下を認識することはできません。

【 オブジェクトの隙間 】
一見綺麗に並んでいるように見えますが、0.1mm以下のわずかな隙間でも背景色が印刷されてしまうことがあります。
オブジェクトのうっかりズレにご注意ください。

リンクについて

Illustratorのデータだけあれば印刷できるわけではなく、写真(人物や食べ物、風景などの画像)も印刷には重要な要素です。
データを送付する際にはIllustratorにリンクさせた画像データも必ず一緒に送付してください。
ファイル形式はpsdファイルを推奨しています。
Illustratorは中身が同じであっても、ファイル名が違うと違うファイルとして認識してしまいます。
ファイル開封時に警告が出る以上、正しい印刷データとしての保証はできません。
また中身が違っていてもファイル名がリンクさせた時と一致してしまうと正しいファイルとして認識してしまいます。
リンクファイルの取り扱いには十分注意をお願いします。

【 便利機能 】
Illustratorのパッケージ機能を使うと、作業中のデータに使われている画像をまとめて、新しいフォルダを作ることができます。 ※4

【 Illustrator便利機能 】 ※4
パッケージ機能

パッケージはファイルメニューの中にあります。


ラベル印刷の入稿データの作り方で疑問がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

▼「印刷入稿データの作り方」が詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください!▼
印刷入稿データの作り方②:フォント
印刷入稿データの作り方③:色
印刷入稿データの作り方④:印字

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